2004年に、「六本木クロッシング」という展覧会で発表した≪Natural Process≫は、Googleのトップページをそのまま絵画として製作、展示、そしてその様子をネット中継した作品だった(http://exonemo.com/NP/)。(実は)Googleの許可なく製作したのだが、会期中にGoogle社と連絡を取って一応の許諾をいただき、しかも会期後にはGoogle社に作品を購入してもらうことになった。絵画は当時、渋谷のセルリアンタワーにあったGoogleオフィスに飾られたのだが、あれから数年がたち、Google社が六本木の森ビルへと移転したと聞いた。まだ絵画は無事にあるのだろうか・・・・。当時の担当者が退社してしまって連絡が取れずにいると、ある会合で“日本人で初めてGoogleのホリデーロゴを描いた男”川島優志氏に出会った。
「絵画は健在ですよ。ぜひ遊びに来てください」との誘いを受けて、新しいGoogle社へと潜入した。部外者立ち入り禁止のラインを(特別に)超えさせてもらい、オフィスの中に入れてもらうと、開発チームの休憩スペースにそれはデンとあった。壁一面を覆う巨大なブラウザ画面。久々に見たら思ったよりデカイ。横幅3mあるから、それも当然だが。しかも、2003年当時のGoogleのトップページなので、ロゴの感じも若干古い。UIも全体的に立体感があって飛び出している。そして、描かれているブラウザの枠が当時もっともユーザーが多かったInternet Explorerだ。「実はここ、Chrome開発チームの部屋のとなりなんですよ(笑)」ナニ!? それはマズイw 今度、Chromeバージョン作りますから!
知らない場所で上手く立ち回ってる我が子を見るような、不思議な思いを抱きながら絵画に別れを告げ、ビュッフェ形式で食べ放題の社員食堂で昼食をとりつつ、「絵」つながりでもある“Mr.ホリデーロゴ”川島氏を探るターンに突入。そもそも、どうやってGoogle社に入ったのかなど、過去を紐解いていくと、これが意外にも・・・・
「学生の時にコンピュータで作品を作っていたら、割とうまくいって仕事が回るようになったんです。それで、本場に行って腕を試したいと思い、アメリカに行ったんですよ」
向こうで仕事とか決まってたんですか?
「いや、まったく当てがなく。カリフォルニアは暖かい、くらいの知識だけで、Tシャツ短パンで行ったら、寒くて初日で死にかけましたw」
「泊まるところも知らないし、英語もできないから、見つけたホテルでYES、YESって言ってたら、豪華な部屋に泊まれたんですが、翌日高額な請求をされて・・・・」
ん?この人?
「友達には『成功するまで帰らない』って豪語して日本を出たのに、3カ月でビザが切れることを向こうで知って」
「ビザ取得のために英語学校に通ったのに、覚えているのはメキシカンの友達から吹きこまれたスペイン語のスラングばっかり(Googleに入った後も役に立ってマス)」
「その後ちゃんと仕事しようとビザ発行のために会社作ったんですけど、創業者にはビザが出せないことを後で知ったりw」
かなり行き当たりばったりじゃないっすか! でも結果こうしてちゃんとGoogleで働けてるし、なにより生きてるし。その後いろいろあってGoogleに入社(渡米の話がおもしろすぎたので省略)。7年のLA生活から東京に戻る。
「Googleは、勤務地があんまり関係ないんですよ。東京にいたとしてもグローバルのサイトを作ったりしてます」
「ホリデーロゴは元々デニス・ホワンという人が一人で描いてたんですが、手に負えなくなってきて、僕も手伝うようになったんです。2008年から描いてます」
どれくらい制作にかかるんですか?
「実際に描くのは2週間くらいですね。試行錯誤をしながら仕上げていくんですよ。たった1日のために」
たしかに、1日しか表示されないんですよね。
「でもだからこそ、一期一会の表現を大切にしたいんです」
いやしかし・・・・ホリデーロゴを書いている人がこんなに面白い人だったとは。ちなみに将来の目標とかあるんですか?
「定住したくないので、飛行船の下に家をくっつけて、移動しながら生活したいですね。ただ一つ問題があって、奥さんが高所恐怖症なんですよ」
ww リアルなことは、飛行船買ってから考えるんでいいんじゃないですかねw